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日本列島の自然条件

1)国土のゆがみと複雑さ
●弓状列島。居住地は東西2300km、南北2400km
 ポルトガルのリスボンから、スペイン、フランス、ドイツ、ポーランドまで

2)4島に分かれている
●海峡を越えなければならない。一体的に利用できない。
●関門国道トンネル1958年、青函トンネル1988年

3)脊梁山脈(背骨、背筋)
●イギリス、ドイツ、フランスは国土全体を覆うひとつの大きな平野が存在している。
●フランスは東部、南部に山脈、ドイツは南部
●2~3000m級の山脈。トンネルと橋梁を多用しなければならない。
●山岳地帯を超えるには、道路の勾配が急になり、急勾配を避けるためカーブを多用。
●河川が国土の縦貫軸に直行し、南北に流れる。
 川はきわめて短く、流れは急である。
 急流で豪雨もしばしば襲うので、水位の上昇が急激で、洪水が起こりやすい。
 ひとつの降雨域にひとつの河川がまるまる入り、上流が雨の時下流も雨。
 大きな河川によって109の地域に分断されている(一級水系が109)二級水系は2713.

4)地質が複雑で不安定
●花崗岩をはじめとする火山岩類と堆積岩類がモザイク模様。
●風化作用は一様に進行せず、きわめて不均質な岩盤状況が形成された。
●1立方メートルの岩の塊すら、どこかにひび割れを内包してる。

5)全体として少なく狭い平野
●可住地面積は27%しかない。(フランス73、イギリス85、ドイツ67%)
●さらに、狭い平野として分散。
 河川が勝手気ままに流れないように「流路」を固定しなければならない
●山間部に散在する数多い盆地。長い間孤立的に暮らしてきた。
 わが国に大きな権力が生まれなかった要因のひとつ。

6)軟弱地盤上の都市
●流路固定の難しさ。次第に河床が上昇する。
●沖積平野は地下水位がきわめて高い
 地下水位を下げるため排水し、地盤が緩むので地盤を支えながら工事
●マンハッタン島は、ひとつの岩からできている。

7)地震と津波
●全世界のマグニチュード4以上の地震の10%が日本で起こり、マグニチュード6以上は20%。
●世界の活火山の10%が日本に存在。
●世界で15程度しかないプレートのうち4つがある。
●プレートによって分断されている。
●東日本大震災では、宮城県牡鹿(おじか)半島は東に5m以上移動し、1.2m沈んだ

8)短期間に集中する豪雨
●降雨量は多いが、使える水は少ない。
●3000か所以上の貯水施設を合計すると約300億トン。
 コロラド川フーバーダム、中国三峡ダムと同程度。
●河川が急流、岩盤が崩壊しやすいため、土石流が発生しやすい。

9)台風による強風
●台風の通り道に沿うかのように、日本列島が位置している。

10)日本海側を苦しめる豪雪
●脊梁山脈が、2つの国からなるかのように分断している。
●わが国の国土面積の60%が積雪寒冷地帯

大石久和「国土と日本人-災害大国の生き方」 中公新書 2012