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弁証法

「弁証法」とは、ある特定の意見とそれに対立する意見を統合することによって、よりよいアイデアを生み出していく思考法です。最初にある正しいとされる意見(命題)のことを「テーゼ」、それに反対する意見(命題)のことを「アンチテーゼ」、テーゼとアンチテーゼを統合して生み出された意見(命題)のことを「ジンテーゼ」と呼びます。

「テーゼ→アンチテーゼ→ジンテーゼ」の流れで考え、アイデアをぶつけ合わせながら、新しいアイデアを生み出していきます。この流れは「正→反→合」とも呼ばれ、これを経て統合されたアイデアを生み出すことを「アウフヘーベン(止揚)」といいます。

個人で用いることはもちろん、他者との対話の中でアイデアを深めていく際にも有効な考え方の1つです。

❶[テーゼを設定する]
正しいとされている意見であるテーゼを設定します。自分の意見だけでなく、他者の意見がテーゼとなることもあります。テーゼの段階での特徴は、意見がまだ「自分(主張している人)中心」であることです。

❷[アンチテーゼを考える]
テーゼと対立する意見や主張を考えます。この段階では、テーゼが唯一の答えではないという自覚を持ち、異なる意見を受け入れることが重要です。他者との違いの中で自己を知るステップともいえます。

❸[ジンテーゼを考える]
テーゼとアンチテーゼを統合し、より高いレベルのアイデアを考えます。両方の意見を部分的に否定しつつ、部分的には活かしながら、高次の思考へと発展させます。「AかBか」のような二者択―的な考え方ではなく、「AもBも合みつつ、それらより優れたC」を考えるということです。


意見の否定と人格の否定を混同じない
弁証法では対立意見を考えるため、他者の意見を否定する場面があります。他者との対話の中で用いる場合に注意しておきたいのが「否定の対象」です。否定すべきは「意見」であり、意見を述べている人の「人格」ではありません。また、否定の目的は「共創的な思考の発展」であり、「相手を負かすこと」ではありません。ここを混同してしまうと、健全な対話や思考を行うことができないので、十分注意しておく必要があります。