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日本のコンテンツを海外販売する際の課題と解決策
日本の文化は、明治維新で近代国家としてよちよち歩きし始めた頃で、日本にはろくな近代産業も経済力もない頃でさえ、ずっと魅力的でした。その例は枚挙に暇がないのです。浮世絵は特にプロモーションすることなく、勝手に欧州の知識人を魅了したし、日本刀は中国との交易品として常に人気があったのですから。日本の文化コンテンツは、それ自体で輝きを放ってきたのです。
太平洋戦争を経て、日本の国力は徹底的にそぎ落とされました。日本が持つ本来の可能性さえも否定し、米国の圧政下で自虐的な戦後80年を経験することになりました。その時代は終わりが見えているわけではないですが、いつの日にか、日本が本来の自我を持つ独立国となるまで何百年もかかるかもしれません。しかし、その暗黒の時代である今日でも、今さらのように「日本のコンテンツを海外に販売する」「クールジャパン」といったことを言い始めるようになりました。皮肉なことに、歴史的な流れを見れば、「クール」である必要も、執着的に販売する必要もないのではないでしょうか。なぜなら、日本の文化コンテンツは、それ自体で、政策的施策も、商業的努力も必要のない、輝きを持っているのですから。
しかし、日本のコンテンツを海外に販売するという目標を設定するとすれば、そこにはいくつかの困難な点があるといえます。必ずしもコンテンツを販売する経済的な動機は弱いですが、反対に、日本的視点を世界に宣伝するという視点に立てば、日本の文化コンテンツの普及は日本にとっても、世界にとっても好ましいものでしょう。
課題1:著作権の制約
日本のテレビ番組を海外に販売(二次利用)する際には、著作権の問題が大きな障害となります。特に以下の点が重要です。1. 事前の許諾申請が必要
番組を海外で放送するためには、権利者団体への許諾申請が必須です。これには、脚本家、作曲家、出演者、制作会社など、多くの関係者が関与するため、交渉に時間がかかることが多いです。
2. 放送回数の制限
権利者との交渉によって、販売先の国での放送回数が制限されることがあります。これは、日本国内での二次使用と同様の制限が適用されるケースが多く、海外の放送局にとっては魅力的な契約条件ではない場合があります。
3. 外国楽曲(洋楽)の制約
番組内で使用された外国曲(洋楽)は、海外での放送に際して利用できないことが一般的です。そのため、海外販売用に著作権フリーの楽曲に差し替える必要があり、追加の編集作業やコストが発生します。
解決策
- 包括的な権利処理:放送時点で海外販売を見越して、使用する楽曲や映像素材の権利処理を行う。
- オリジナル音楽の活用:著作権フリーの楽曲やオリジナル楽曲を制作することで、二次利用の際の制約を減らす。
- 包括ライセンスの導入:権利者団体と包括的な契約を結び、放送回数や国ごとの制限を緩和する。
課題2:関係者のメリットの少なさ
海外販売による収益が少ないことから、関係者の間でメリットを感じにくい状況が続いています。1. 低い販売価格と配分金
日本の番組は海外では安価に販売されるため、権利者が受け取る配分金が国内のギャラと比べて極端に低くなります。そのため、権利者が海外販売に消極的になることがあります。
2. タレントのプロモーション効果の低さ
日本のタレントや俳優にとって、海外で番組が放送されても直接的なイメージアップやプロモーションにはつながらないという意識が強いです。特に、海外市場をターゲットにしていないタレントにとっては、海外販売に積極的になる理由が見当たりません。
3. アジア市場への不信感
アジア市場では海賊版やコピー商品の流通が根強く、権利者にとってネガティブなイメージを持たれがちです。そのため、正規販売を促進することに対して慎重な姿勢がとられています。
解決策
- 権利者への利益配分の改善:
海外販売による収益の配分モデルを見直し、権利者への還元率を向上させる。
- プロモーション戦略の確立:
海外市場向けにタレントや作品を積極的にプロモーションし、認知度を高める取り組みを強化する。
- 海賊版対策の強化:
海外の市場で正規版の流通を拡大し、海賊版対策を強化することで、正規版の販売価値を高める。
課題3:日本固有の番組スタンダードの違い
日本のテレビ番組、特にドラマは、海外市場と制作・放送のスタンダードが異なるため、販売が難しいという課題があります。1. 放送習慣の違い
- 日本のドラマは「毎週1話×3ヶ月=11話」が基本。
- アジア各国では「週2~3話」、中華圏では「毎日1~2話」の放送が一般的。
- このため、海外では最低20話以上、平均40話以上の作品が求められる。
2. 視聴率とスポンサーの問題
- 日本の短編ドラマは海外の放送局にとって視聴率が取りにくく、スポンサーを確保しづらい。
- 結果として、日本番組専門チャンネル以外の一般のテレビ局には販売しづらい。
解決策
- 長編化やシーズン制の導入:
日本のドラマ制作を海外市場向けに長編化し、シーズン制を導入する。
- ストリーミング配信の活用:
NetflixやAmazon Primeなどのプラットフォームを活用し、視聴スタイルの多様化に対応する。
- 共同制作の推進:
海外の制作会社と提携し、グローバル市場に適応した作品を共同で制作する。
まとめ
日本のテレビ番組の海外販売には、著作権の問題、関係者の利益、放送習慣の違いといった課題が存在します。しかし、事前の権利処理や利益配分の見直し、放送形態の工夫などによって、これらの課題を克服することは可能です。特に、ストリーミングサービスの活用や共同制作の推進は、今後の海外展開において有効な戦略となるでしょう。日本のコンテンツが世界でさらに評価されるためには、これらの課題を解決し、より積極的な海外展開を図ることが求められています。